No.188

#語彙トレ2026 01/08 - 仄見える

 なぜ夜を選ぶのかといえば、その方が他者の魔力を感知しやすいからだ。取り逃がしたくない。誰か一人だけでも、ほんの僅かでも、雲の向こうの月明かりのように微かな光であっても、その気配が仄見えることさえあれば。
 そうしたら希望を失わずにいられるのに。一人ではない。そんなはずはない。
 約束をした。誓い合った。歪みの元を絶つまで、共に戦い抜こうと。同じ記憶を持って、生まれ変わって、もう一度、何度でも、終わりが来るまで。
 そのはずなのに。合流地点に決めたその場所は、何度訪れても、誰の気配も返してはくれない。
 時だけが無情に過ぎていく。

創作