No.189

#語彙トレ2026 01/09 - 浸食

「辛……」
 舌を侵食してくる強烈な刺激に、ユリウスは思わず顔をしかめた。
「え、全然辛くないだろ!?」
 唖然とするレグルスの皿には、あからさまに唐辛子の色で染まった真っ赤なカレーが入っている。
「味覚大丈夫ですか」
 思わず心配になって尋ねると、レグルスは不思議そうに目を瞬かせた。一辛なら辛くない、という彼の言葉は、どうやらこの壊れた味覚を根拠にして放たれたものだったようだ。
「今後は」
 理由を悟ったユリウスは、深く深くため息をつく。
「辛いのが好きな人間の辛くないという証言は信じないことにします」

創作