No.202

#語彙トレ2026 01/22 - 諧謔

「では、お元気で」
 別れの言葉はずいぶんとあっさりしたものだった。英雄として崇拝されるのにふさわしい実力を持った男は、しかしそんなことに大した意味はないとでも言うように微笑している。
「あんたなら歪みの大元を断つくらいのことはやってのけそうなんだがなあ」
「そうできたら良いのですが、残念ながら私にできることはせいぜい時間稼ぎくらいのものなのですよ」
 諧謔に紛れて、もう一度同じ言葉が繰り返される。念を押されているのだろう。
「私に真実を探している時間はないので」
「そっか。じゃあ、俺も探しとくよ」
 同じように冗談めかして、ゲイリーは誓った。

創作