No.217

#語彙トレ2026 02/05 - 微睡

 微睡の中で、歌を聞いた。遠くから微かに響く、懐かしい歌声。その声がもう夢の中でしか聞くことができないものだと、ユリウスは知っている。
「母さん」
 呟いた自分の声で、目が覚める。ゆっくりと目を開けると、レグルスが心配そうにこちらをのぞきこんでいた。
「なあ、大丈夫か? なんかすげえ疲れてるみたいだけど」
「そうですね。確かに少し根を詰め過ぎたかもしれません。気をつけます。倒れている時間はないので」
「いや、そうじゃなくてさ」
 レグルスは少し呆れたように目を細め、次いで急にユリウスの頭をわしゃわしゃとかき混ぜた。
「心配すんだろって言ってんの」

創作