No.224, No.223, No.222, No.221, No.220, No.219, No.2187件]

#語彙トレ2026 02/10 - 瓦礫

「ま、こんなんでも止められるようになっただけマシだな」
 瓦礫の上で紙巻き煙草をふかしながら、アシュトンはいつもと変わらぬ調子でうそぶく。
「そうだな。あたしがぶち当たった歪みは塵一つ残さなかったよ」
 ダリアは頷いて転がった硝子の破片をつま先で蹴飛ばした。
「もっと早く具現化の力が見つかってりゃ、救えた命もあるんだろうなあ」
 しゃがみ込んだセルゲイも、どこか虚ろな瞳で空を見上げる。
「次はそんな風にならないように、あらゆる手段を尽くして記憶を未来に繋げるんですよ。たとえ禁忌に触れたとしても」
 拳を握りしめるダミアンに、フレアとレグルスも頷いた。

創作

#語彙トレ2026 02/09 - 翻弄

 討伐隊が最初に倒した歪みの核は、巨大な芋虫の頭が割れたところから苦悶する人間の顔が生えているという、見ただけで気分が悪くなるような姿をしていた。その顔には、ユリウスも見覚えがあった。以前アシュトンとふざけ合っていた、元傭兵のニールだ。
「視覚で動いていたな」
 倒した怪物が虹色の光だけを残して跡形もなく消え去った後で、アシュトンがぽつりと呟く。
「それに、動き方にあいつの癖が残ってやがった。思考が人間ってことは、人間相手のフェイントが効くってことだ」
 怪物を容赦なく翻弄していた男は、愛惜を隠して淡々と事実を並べた。

創作

#語彙トレ2026 02/08 - 禁忌

「聞いての通り、この作戦は命と引き替えに歪みの元を封印するというものだ。本来ならば、このような作戦に君たちのような未来のある若者を招聘することはあり得ない」
 討伐隊が結成された初日、リーアとセルゲイを両脇に控えさせたダリアはユリウスとレグルスを前にそう淡々と告げた。
「しかし、このままでは君たちに残すべき未来すらも危うい。それが、我々が君たちを招聘し、禁忌を犯すと決めた理由だ」
「禁忌……?」
 思わず漏れ出たユリウスの疑問を咎めることもなく、ダリアは静かに頷く。
「そう。極秘事項なので今日まで明かせなかったが、この作戦には魂の操作も含まれている」

創作

グレムくん! 怪しすぎるよグレムくん! 声で疑って悪かったと思ってるけど声を抜きにしても怪しい……疑惑の目で見てしまう……
#AFK_Journey

ゲーム

#語彙トレ2026 02/07 - 深淵

 淡い虹色の煌めきが舞う。祝祭を彩る花吹雪のようなそれが、滅びの前兆だ。
 舞い踊る光は引き付けられるように人に群がり、歪みの核にしてしまう。核となった人間は誰も触れることのできない虹色の怪物となり、周囲のものを呑み込みながら膨れあがり、やがて空間そのものを呑み込むような「穴」を出現させて消える。その穴は数日の時間をかけて縮み、やがて消えるけれど、それまでは触れたものすべてを呑み込む深淵だ。
 その向こうに何があるのかは、誰も知らない。歪みに呑み込まれて帰ってきた者はいないからだ。
 歪みの核を具現化させて倒すことが、現状では唯一の対抗策だった。

創作

#語彙トレ2026 02/06 - 遡及

「つまり~、過去に遡及して記憶を記録する方法を思いついたわけえ」
 フレアの間延びした言葉を、ダミアンが真剣な表情で聞き取ろうとしている。
「記憶というか意識そのものを魂に刻み込む感じだねえ。あ、ほんとに刻み込むわけじゃないんだけどお」
「それはわかったから術式を早く」
 先ほどから堪えきれない様子で貧乏揺すりをしていたダミアンが、ついに先を促した。
「えー」
 フレアが不満げに唇を尖らせながら描いた魔術式は、ユリウスから見てもどうやって動いているのか不思議に思えるほど混乱していた。
「これを……読み解くのか……」
 ダミアンの眼鏡が絶望に曇る。

創作